農業の高齢化や担い手不足、そして耕作放棄地の増加という課題が深刻化する中、日本の農業は転換点を迎えています。そんな中、ロボット技術を活用した新しい形の農業が注目を集めています。その最前線に立つのが、宮崎県延岡市で株式会社テムザックが実践する「WORKROID農業」です。この度、ロボット耕作で収穫した米を米粉に加工し、「雷粉(らいこ)」として販売を開始しました。環境に優しく、持続可能な農業を目指すこの取り組みは、ふるさと納税の返礼品としても採用され、多くの人々にその魅力を広めています。雷粉は、パンやケーキ、揚げ物など多岐にわたる料理に活用できるだけでなく、健康志向や食料安全保障の観点からもその価値が高まっています。本記事では、ロボット技術と農業が融合した新しい挑戦について、そして「雷粉」がどのように私たちの生活を豊かにするのかをご紹介します。
ロボットが生んだ新たな価値「雷粉」
近年、米の消費量が減少する一方で、米粉の需要は増加しています。健康志向の高まりや輸入小麦の価格高騰が背景にあり、米粉はパンや麺類、スイーツなど多用途に使えることから注目されています。雷粉は、このトレンドに乗りながらも、環境への配慮や地域社会への貢献を実現する商品として期待されています。
さらに、ふるさと納税の返礼品に採用されたことで、全国の家庭でその魅力を体感できる機会が広がっています。食材としての使いやすさはもちろん、持続可能な農業を支える商品として、雷粉は新しい価値を提供しています。
雷粉は、「耕作放棄地を救いたい」という願いからスタートしたロボット農業「WORKROID農業」によって生まれた米粉です。延岡市の不整形地や小規模圃場で、ロボット技術を駆使して効率的に稲作を行い、収穫された米を独自の製法で米粉に加工しています。粒が細かく傷つきが少ないため、小麦粉のように使いやすく、ケーキやクッキー、パンなどの調理で驚くほどの効果を発揮します。
◆お菓子に
ケーキやマフィンはふっくらと膨らみ、クッキーはサクサクした食感を楽しめます。
◆料理に
揚げ物の衣として使うと油切れが良く、ヘルシーな仕上がりに。さらに、シチューのとろみ付けやパン生地にも最適で、モチモチした食感が楽しめます。
Instagram @komeko__chan で米粉レシピ配信中
また、雷粉の名前には、電気で動くロボット「雷鳥シリーズ」と、日本古来の「稲と雷の関係」に由来する五穀豊穣への願いが込められています。この背景が、商品にさらなる魅力を与えています。
高齢化と担い手不足に挑む! WORKROID農業が描く未来
テムザックが提案する「WORKROID農業」は、農業の省力化を実現するための新しいアプローチです。2023年春からスタートしたこの取り組みでは、多機能型農業ロボット「雷鳥シリーズ」を活用し、耕起や直播といった作業を効率化しています。2024年にはさらに「徹底した省力化の実現」を目指し、技術開発を進めています。
これにより、高齢化や担い手不足に直面する農業現場の課題を解決し、耕作放棄地の再生を可能にしています。ロボット技術を活用した稲作は、持続可能な農業の実現に向けた希望の光と言えるでしょう。
「雷粉」を通じて考えるロボット技術と地域活性
雷粉の取り組みを通じて感じたのは、ロボット技術が持つ可能性の大きさと、それが農業という伝統的な産業にもたらす変革の力です。省力化農業が進むことで、農業の担い手が減少している地域でも稲作を維持し、地元の活性化につなげることができる点に大きな感銘を受けました。
また、雷粉自体の品質の高さも特筆すべき点です。小麦粉の代用品として、そして健康志向や環境への配慮を求める現代のニーズに応える商品として、これからさらに広がりを見せる可能性を秘めています。
テムザックの取り組みは、単なる農業の省力化にとどまらず、日本の食料自給率向上や耕作放棄地の減少といった大きな課題の解決にも貢献しています。未来の農業が描く新しい風景を、雷粉を通じて体験してみてはいかがでしょうか。
株式会社テムザック
人とロボットの共存社会を目指すサービスロボットメーカーです。医療、建築、パーソナルモビリティ、災害レスキューなど重労働や人手が足りない現場で、人に代わって活躍する多様な実用ロボット”WORKROID”(ワークロイド) を開発しつづけています。