
東京都は2019年に「ゼロエミッション東京戦略」を策定・公表。さらに2022年には世界が目指す“2050年CO₂排出実質ゼロ”という共通のゴールに向けて「東京都環境基本計画」を改定し、「ゼロエミッション東京」への取り組みを加速させています。
持続可能な社会の実現が急務となるなか、東京都は今後、中小企業等が国内外のカーボンクレジットを容易に取引できるようにするため、新たなカーボンクレジットの取引システムを構築・運用を開始予定です。カーボンクレジットとは、企業が削減または吸収した温室効果ガス量をクレジット化し、売買できる仕組み。 取引の活性化により、脱炭素化の加速が期待されます。
2025年3月11日、東京都の小池都知事はカーボンクレジットの取引活性化に関する協力・連携等について、ゴールドスタンダード財団CEOのマーガレット・キム氏と覚書を締結しました。
「ゼロエミッション東京」達成に向けた東京都の取り組み

覚書の締結式に出席した小池都知事は、昨年の東京での連日の猛暑や、豪雨、森林火災といった近年身近で起きている自然災害を挙げたうえで、「そのなかでも気候変動に由来する部分は、みんなで協力し、カーボンクレジットを有効利用して、脱炭素化を実行していきたい」と、東京都の見据えるプランを語りました。
また、3月末に運用開始予定のカーボンクレジット取引システムの企業登録が開始され、「世界ではすでに多くの企業がカーボンクレジットの活用を進めているなかで、東京都も本日の覚書に基づいて、ゴールドスタンダード財団の皆さまとカーボンクレジット活用の意義を広く伝えながら、安心して取引ができる環境づくりを進めていきたい」とコメント。「様々な知見を有する財団の皆さまと連携し、知恵を出し合いながら、持続可能な未来への歩みを進めていきたい」と続けました。

続けて、ゴールドスタンダード財団は、20年以上前に気候変動政策の基準を引き上げるという使命のもと設立されました。締結式でキムCEOは、「東京都がゼロエミッション東京のビジョンに向けて掲げた取り組みに深い敬意を抱いています」と挨拶。また、ゼロエミッションへの道のりは政府だけでは成し得るものではなく、企業自らがバリューチェーンの内外で果敢な行動と投資を行うことの必要性を説きました。最後に「東京、そして日本全体で気候変動対策において民間企業を巻き込もうとする努力には改めて敬意を表します」と締めくくりました。

覚書署名後は、小池都知事、キムCEOによる記念撮影が実施され、終始和やかな雰囲気で締結式は終了となりました。


小池都知事の話にもあった通り、近年は地球規模での気温上昇が続いています。日本でも、猛暑日や記録的大雨の増加など、温室効果ガスの排出による影響は少なくありません。今回の東京都とゴールドスタンダード財団との覚書の締結によって、今回の覚書締結は、東京だけでなく全国のゼロエミッション推進に影響を与える重要な一歩となるでしょう。今後の動向に注目です。
ゼロエミッション東京公式サイト:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/policy_others/zeroemission_tokyo