
株式会社イオレが、暗号資産金融事業に関する戦略発表会を開催。Neo Crypto Bank構想や、今後のスーパーアプリ展開、具体的な市場獲得目標、暗号資産トレジャリーなどについて発表がありました。
トークセッションでは、株式会社finoject 代表取締役CEO三根公博氏や、Animoca Brands株式会社代表取締役社長CEO天羽健介氏、SBI VC Trade執行役員CTO・池田英樹氏が登壇。暗号資産の社会実装や未来について話がありました。
株式会社イオレ、暗号資産を活用した新しい金融事業構想を発表
株式会社イオレは、今後の成長戦略の柱として「暗号資産を活用した金融事業」を掲げています。ビットコインなどの暗号資産を企業の資産として保有するだけでなく、その運用を通じて新たな収益を生み出し、会社の財務基盤を強化していく考えです。さらに、暗号資産を使った新しい金融インフラを整え、将来的には独自の金融サービスを展開することも視野に入れています。
政府がWeb3.0の推進を掲げるなか、同社は市場が抱える課題に正面から挑戦。「Neo Crypto Bank(ネオ・クリプト・バンク)」という新しい金融構想を打ち出し、その実現に向けた具体的なロードマップを公表しました。
イオレCEO瀧野氏が描く日本発の次世代金融インフラ

株式会社イオレ代表取締役社長兼CEO瀧野諭吾氏は、「私たちは暗号資産の保有そのものを目的とする企業ではありません。事業のための財務戦略として保有を拡大し、その上に新しい金融、経済の仕組みを構築していく会社です」と説明。
今回の事業にあたり、「10代の頃から、インターネットという“人と世界をつなぐ仕組み”に心を奪われてきました。情報が力になる、個人が世界とつながるという興奮に満ちた時代でした。それが私の原点です。しかし、同時にインターネットが社会の隅々に行き渡るにつれて情報が溢れ、信頼が失われていく光景を目にしてきました」と振り返りました。
続けて、「2010年代後半、日本のゲーム産業は間違いなく、世界の最先端にいました。ブロックチェーンでも同じで、ビットコインが登場した直後、日本は世界最大の取引量を誇る国でした。しかし、わずか数年で世界の主導権を失い、成長の過程で問題を恐れる国になってしまっていると思います。今私たちは急速な円安、株高、物価高という現実に直面しています。日本円の信用が試されていると考えています」と述べました。そして、「このままでは価値を生む場所も信用の起点も全て海外に奪われてしまうので、だからこそ再度作る側に回らなければいけない。次の時代の社会インフラの在り方を探求する会社になります」と意気込みます。
株式会社イオレが掲げるNeo Crypto Bank構想について

株式会社イオレ執行役員CCO兼暗号資産金融事業事業責任者の花島晋平氏は「今年から、AIと暗号資産という2つの分野で事業を推進しています。暗号資産という業界が昨年より大きく前進してきたと感じていますが、経済圏は拡大してきたものの、日常生活での活用はまだこれからだと感じています」と言及。「資産運用という観点でも、物価高などの社会背景を踏まえ、暗号資産を含む資産運用は一般化してきたと思います。暗号資産の特性上、市場の健全性が非常に重要になってくると思います」と話しました。

今までの金融とイオレが掲げる暗号資産金融の違いについて、花島氏は「既存の金融は、銀行や保険などいろいろな事業者が社会の歯車を作っていて、複雑な構成が出来上がっています。元々は物々交換から貨幣へと進化し、デジタル化によって物理的な距離を超えて取引できるようになりました。これからの暗号資産金融では、同じようにステップを踏んで経済を拡大していくのではと思っています。まずは暗号資産を保有し、これらを決済や証券に活用できる土壌が出てくる。その後にSTやNFTなどへ発展していく未来が生まれてくるのではと考えています」と明かしました。

「ただ保有するだけではなく、どうやって使っていくかが問われていると思います。我々が次の時代に目指していくのは、Web3.0領域のスーパーアプリを目指しています。単なる運用ではなく、様々な機能をオールインワンで搭載した一般社会に溶け込むアプリを目指しています。ウォレットを軸に、資産保管・送金や決済・外部接続・資産運用を実行します」と展望を述べました。

資産保管・送金や決済・外部接続の部分については、SLASH VISIONと提携。直接暗号資産で決済することができます。資産運用の面では、J-CAMと提携し、ただ資産を運用するのではなく、運用益を直接サブスクリプションの支払いなどに充てられる未来を目指しています。
キャッシュレス決済マーケットは、2024年のデータで388億回の決済が確認されています。2027年度末までにキャッシュレス決済市場の1%にあたる4億回・1.2兆円規模の決済達成を目標に掲げています。2027年にアプリケーションローンチが計画されています。
暗号資産の未来について
トークセッションでは、ステーブルコインの法整備や暗号資産の活用が進む中で、企業による暗号資産トレジャリーやブロックチェーン決済の実用化が議論されました。暗号資産の未来についてはそれぞれ下記のように述べています。

株式会社finoject 代表取締役CEO・三根公博氏は、「長いスパンで見ると、お金は必ずデジタルになると思っています。今我々が暗号資産と呼んでいるものになるかは分かりませんが、資産のデジタル化は揺るがないというポリシーです」とコメント。

Animoca Brands株式会社 代表取締役社長CEO・天羽健介氏は、「非金融領域の利用用途が、決済システムやゲームなどに広がっていくと思います。バランスよく行ったり来たりしながら市場成長していくと思いますが、まずは飛び込まない限り治験もたまらないので、やっていきます」と話しました。

SBI VC Trade執行役員CTO・池田英樹氏は、「ステーブルコインの法整備により、実用化のスピードが一気に加速しており、ブロックチェーンのさまざまなユースケースに対して、実現可能性の判断段階に入っていると感じます。そこの危機感も含めた上で、今後どのような商品を打ち出していくのがいいのか議論する余地が広がってきていると思います」と分析しました。
イオレの強みについて
質疑応答では、「保有ではなく、利用するメリットは何か」「BTC以外の取り扱い可否(ETH・DEPCoin)があるか」「海外展開の有無」「既存決済との違いとセキュリティ」などがありました。
イオレの強みについて、「経営陣には、過去一緒に10年以上キャリアを歩んできた仲間を採用しています。報酬体系の改善にも取り組み、外資系企業へ流出している優秀人材を取り戻したいと考えています。年収6,000万円を超える報酬体系も用意し、次のインフラを作っていきたい人材を増やしている状況です。今日掲げたロードマップを着実に達成していく体制を整えています」と瀧野氏はまとめました。
【概要】
イオレ暗号資産金融事業戦略発表会
主催: 株式会社イオレ
日時:2025 年10月14日(火)
公式ホームページ:https://www.eole.co.jp/