
企業のDXというと、AIやクラウドといった目新しい技術に目が向きがちですが、実はその裏側では、もっと地味で、しかし欠かせない変化が進んでいます。それが、企業のITインフラを「どう支え、どう運用していくのか」という部分です。
海外にも拠点を持つ大企業では、ネットワークやセキュリティ、各種システムを止めずに動かし続けること自体が、年々難しくなっています。IT環境が複雑になるほど、管理の負担は増え、専門的な対応も求められるからです。
そうした中で、三井物産のインフラ運用を支えてきた三井情報株式会社を中心に、その運用体制が大きく見直されました。個別に対応してきた仕組みをまとめ、国内外のリソースを組み合わせながら、より安定した運用を目指す動きです。
この取り組みは、派手さはないものの、DXを現実のものにするための「土台」をどう作るかという点で、多くの企業にとって示唆のある事例と言えそうです。
DXの裏側で進むインフラ運用の課題
企業のDXが進むにつれ、ITの使われ方は大きく変わってきました。クラウドサービスの活用が広がり、業務システムは高度化し、社内外をつなぐネットワークも複雑になっています。一方で、こうした変化の土台となるITインフラは、「止まらずに動き続けること」がこれまで以上に求められるようになっています。
特に、海外にも拠点を持つグローバル企業では、ネットワークやセキュリティ、各種システムを安定して運用し続けること自体が大きな課題です。IT環境が複雑になるほど、管理や運用にかかる負担は増え、対応にはより専門的な知識や体制が必要になります。 DXという言葉が示す変革は、表に見えるサービスや仕組みだけで完結するものではありません。その裏側で、ITインフラをどう支え、どう運用していくのか。こうした地味ながら重要なテーマが、企業のDXを左右する要素になりつつあります。
グローバル企業に求められるインフラ運用の視点

国内だけで事業を行っていた時代と比べ、グローバルに展開する企業のITインフラ運用は、前提条件そのものが大きく変わっています。国や地域ごとに通信環境やルールが異なり、セキュリティに求められる水準も一律ではありません。
さらに、時差のある拠点を抱える企業では、システムは24時間止められないことが当たり前になっています。トラブルが起きた場合の影響範囲も広く、対応の遅れがそのまま業務全体に影響するケースも少なくありません。
こうした環境では、単にIT機器を導入するだけでは不十分です。ネットワークやセキュリティ、運用体制を含めて、全体を見渡した管理が求められます。DXを進める企業ほど、ITインフラの運用そのものが、経営課題の一部として意識されるようになっていると言えるでしょう。
三井物産を支えるインフラ運用体制の転換

こうした課題に向き合う中で、三井物産株式会社のインフラ運用体制にも変化が見られます。これまで、ネットワークやシステムといったインフラ領域は、必要に応じて個別に支援されてきましたが、運用全体を見直す動きが進められています。
その中心となっているのが、長年にわたり三井物産のインフラ運用を支えてきた三井情報株式会社です。これまで培ってきた運用ノウハウや業務理解をもとに、インフラ領域をまとめて支える体制へと移行し、より安定した運用と管理負担の軽減を目指しています。 個別対応ではなく、インフラ全体を一つの仕組みとして捉える考え方は、DXを進める企業にとって重要な視点です。表に見えるシステム刷新だけでなく、その裏側で支える運用体制をどう整えるかが、DXを継続的なものにする鍵になりつつあります。
国内外のリソースを組み合わせた運用モデルという選択

インフラ運用体制の見直しでは、体制の「まとめ方」だけでなく、「どう人とリソースを確保するか」も重要なポイントになります。ITインフラは24時間止められないことが前提となるため、安定した運用を続けるには、十分な人材と柔軟な体制が欠かせません。
今回の取り組みでは、三井情報に加え、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社 のグローバルなリソースも活用されています。日本企業向けの業務に対応してきた経験を踏まえ、国内と海外の体制を組み合わせることで、運用の安定性を高める狙いがあります。
オフショアという言葉は、コスト削減の文脈で語られることも少なくありません。しかしここでは、単なる効率化ではなく、継続的にインフラを支えるための運用モデルとして位置づけられている点が特徴です。DXを支える基盤として、現実的な選択肢の一つと言えるでしょう。
DXを支えるのは、目立たないインフラの進化
DXという言葉から連想されるのは、新しい技術やサービスの導入かもしれません。しかし、その実現を支えているのは、日々安定して動き続けるITインフラと、それを支える運用体制です。
今回の取り組みは、そうした「目立たない部分」に目を向け、運用のあり方そのものを見直そうとする動きとして捉えられます。派手さはないものの、DXを継続的に進めるうえで欠かせない視点を示している点は、多くの企業にとって参考になるはずです。
DXをどう進めるかだけでなく、それをどう支え続けるか。インフラ運用の見直しは、これからの企業に共通するテーマになっていくのかもしれません。