
武蔵野大学は2026年4月に新たな学部「通信教育部国際データサイエンス学部(MIDS)」を開設します。新学部の開設に先立ち、デジタル庁参事官 浅岡孝充氏、株式会社CustomerPerspective 代表取締役 紣川謙氏をゲストに迎え、1月27日(火)に武蔵野大学有明キャンパスにて、「通信教育部国際データサイエンス学部」開設に関する記者発表会を行いました。
通信制でも研究に深く関われる ー 新学部の4つの特徴

(1)サイバー空間と実世界で実施されるハイブリッド型学修
いつでもどこでも学べる遠隔教育環境を基本としながらも、個別指導がベースの”研究体験連動型学修”の中心となる科目「未来創造プロジェクト」は有明キャンパスにおいて対面で受けることもでき、通学制のデータサイエンス学部生と共に研究を進めることも可能。
(2)都心に居住することなく、あるいは居住地において働きながら、学位取得可能なカリキュラム
通学制のデータサイエンス学部と同等のカリキュラムを展開※。キャンパス設備を使用しないことで学費を抑え、経済的負担の軽減も図られています。また、学士号取得済みの社会人を対象とした 4年次編入の制度もあり、編入学者は最短2年で修士号の学位を取得できるように計画中とのことです
※一部通信制では開講しない科目もあります。
(3)言語の制約を超えた国際的な研究・教育環境にて学修
オンデマンド授業では新しい翻訳システムを活用。また、学生間での国際的コミュニケーションの機会、国際研究への参加の機会があります。
(4)先端研究プロジェクトへの参加を通じた”研究体験連動型学習”
1年次後期~3 年次に履修する「未来創造プロジェクト」では、学生自身が居住する地域において発生している課題、同時に多くの地域が同様の状況を有するグローバルな課題など個人の興味に応じた研究テーマに取り組み、研究活動を介してデータサイエンスの知識と技術を習得します。
1年生後期から取り組む「研究体験連動型学修」が大きな特徴

今年の4月から開設される新しい「通信教育部国際データサイエンス学部」は、英語名「Musashino International Data Science」の頭文字から、略称「MIDS」とも呼ばれています。
このMIDSについて、清木康氏(データサイエンス学部長/通信教育部国際データサイエンス学部長就任予定)が説明を行いました。

「私たちが向き合おうとしているのは、さまざまな課題です。国際的な課題もあれば、一見ローカルに見えながら、実は国際的な構造を持つ課題もあります。そうした多くの課題に対して、データサイエンス、AI、ロボットといった技術がどのように取り組み、立ち向かっていけるのか。それを実際に試行する学校として、この学部を構想しました。」
「大きな特徴の一つが、『研究体験連動型学修』です。研究というと少し難しく感じるかもしれませんが、本学部では大学1年生の後期という非常に早い段階から研究活動に参加します。具体的には、実際の研究プロジェクトに入り、自分自身の課題を明確に持ち、その課題に取り組むために、どのようなAIやデータサイエンスを活用するのかを考えていきます。そして、そのために必要な知識や技術を学んでいく。こうした学びの流れを、『研究体験連動型学修』と呼んでいます。」
三つの学術的な軸、AIアルゴリズムやAI応用

また、MIDSには三つの学術的な軸があります。学生はこの三つの中から二つを選び、メジャーとサブメジャーとして学ぶことになります。
一つ目が「AIアルゴリズム」です。これはAIの根幹となる基本的なアルゴリズムを扱う、いわばコアとなるテクノロジーの領域です。
二つ目が「AI応用」で、既存のAI、あるいは自分たちで開発したAIを、実際の社会や現場の応用へとつなげていきます。
そして、三つ目がそれらを社会に展開するための方法論を設計する領域です。

この三つが学部の柱となり、研究体験連動型の学修を中心に据えながら、メジャーとサブメジャーを組み合わせて学んでいく構造になっているそうです。
ローカルな地域の課題に取り組む「研究体験留学型学習」
さらに、「研究体験留学型学習」という学習方法もあり、学生がそれぞれの居住地域、活動地域で直面しているローカルな課題を、同時に多くの地域で共通して見られるグローバルな課題として捉え直し、それを国際的な研究活動として発信していきます。
ローカルな地域の課題を、グローバルな知識へと昇華させる。その過程で知識と技術を学び、新しいテーマ、あるいは緊急性の高い課題について思考していく。社会課題、自然課題、環境課題など、幅広いテーマに取り組むことを目標としています。
実際の研究テーマの例としては、たとえば海洋プラスチックの問題があります。これは世界的に大きな課題となっていますが、有明キャンパスとタイのキャンパス双方に360度カメラを設置し、現地の状況を相互に共有しながら、どのような解決方法が考えられるかという検討が行われてきました。こうした研究活動に、学生が実際に参加できる仕組みが作られています。
トークセッション「データサイエンスの力で世界の諸課題に立ち向かう」

発表会後半は、小西聖子氏(武蔵野大学学長)、清木氏に加えて、ゲストの浅岡氏、紣川氏の4名で「データサイエンスの力で世界の諸課題に立ち向かう」をテーマにトークセッションが行われました。そして「ローカルな知見をグローバルな知識へとつなげるデータサイエンス」という視点から、MIDSへの期待や可能性についてが話されました。

企業アドバイザーとして、また社会人教育に携わってきた立場から、日本の経済や企業競争力の観点で、なぜ今データサイエンス教育が重要なのか?と問われた紣川氏は、「課題解決の重要性については、企業においてもまったく同じです」と口火を切りました。
つづけて「これまでDXやデータサイエンスというと、どちらかというと『どうやるか』、いわゆる"How"の部分に注目が集まりがちでした。しかし本質的に重要なのは、『何を解決するのか』という点です。データサイエンスの素晴らしいところは、これまで解決できなかった課題が、AIやビッグデータ、新しいロジックによって解決可能になる点にあります。
企業がそうした課題を解決することで、社会に新たな価値を提供できる。それが企業の競争力につながり、日本経済、さらには世界経済への貢献にもつながっていくと考えています」と、データサイエンスへの期待を語りました。

地方創生において、データサイエンス教育にはどのような可能性があるとお考えですか?と問われた浅岡氏は「私は現在、地方創生支援官として、全国の自治体支援にも関わっています。三人一組で小規模自治体に伴走する形で支援を行っています。私が担当しているのは、宮崎県の山間部にある人口900人ほどの町です。現地に行くには、東京を朝8時に出ても到着は午後2時半になります。そうした地域では、行ってみなければ分からない課題が本当に多いと実感しています。」と、現場でこそ実感できる課題に触れました。
そして「課題というのは、机上のデータだけでは見えてこない部分が非常に多い。現地に行き、人と話し、生活を知ることで初めて見えてくるものがあります。そうした地域で課題を共有できる人たちが、データサイエンスを学び、DXを実践していくことには、大きな意味があると思います。通信教育でデータサイエンスを学べるという点は、こうした地域にとって非常に大きな可能性を持っています」と、通信教育×データサイエンスの可能性を示しました。
通信教育という枠を超え、研究を軸に世界と地域をつなぐ学びを目指すMIDS。働きながら学びたい社会人や、地域課題に向き合いたい人にとって、新たな選択肢となりそうです。