Web3の認知度はいまだ3割、最新アンケートで見えた実情

「Web3」という言葉は、次世代のインターネット技術として注目を集めていますが、実際にどれほどの人々がその実態を理解しているのでしょうか。ビットバンク株式会社が実施した最新の調査によれば、Web3の認知度は、2023年と同様に約3割にとどまるという結果が出ました。技術が急速に進化する現代においても、その普及にはまだ課題があることが伺えます。
一方で、興味深い変化も見られました。2024年の調査では、Web3と聞いて「暗号資産」と連想した回答者が前年度の26.8%から45.8%に大幅に増加しています。このことからも、Web3と暗号資産の関連性が一般的に浸透しつつあることがわかります。さらに、約6割の回答者が「プライベートウォレットの作成」や「暗号資産の口座開設」をWeb3の主要なサービスとして認識しており、この1年で暗号資産がWeb3の中心的な存在として受け入れられている現状が浮き彫りになりました。
インターネットの黎明期から今日まで、私たちはWeb1.0、Web2.0を経て、分散型技術を基盤としたWeb3へと進化する過程を目の当たりにしています。しかし、技術の進展に比べて、その概念や利用方法が一般層にまで広く理解されるには時間がかかっています。今回の調査結果は、日本におけるWeb3の現状を的確に反映しており、今後の普及への期待とともに、依然として残る課題も示しています。
本記事では、この調査結果をもとに、日本国内におけるWeb3の認知度や利用状況、そしてWeb3の未来に向けた期待と課題を掘り下げていきます。

調査背景

日本政府は2022年6月に「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針2022)を閣議決定し、次世代インターネット技術「Web3」を国家戦略の一つに据えました。この方針により、Web3を推進する政策が展開され、2022年の資金決済法改正以降、国内の大企業も積極的にWeb3プロジェクトへ参入。Web3関連のプレイヤーが増加し、ユースケースも拡大し続けています。
このような背景のもと、2023年に続いて、日本国内におけるWeb3の認知度や関心を把握するため、一般インターネットユーザーを対象としたアンケート調査が実施されました。

Web3に関する認知度および理解度の調査

Web3の認知度は2023年と変わらず約3割にとどまる

調査結果によると、Web3に対する認知度は2023年と同様に約3割にとどまることが明らかになりました。「Web3という言葉を聞いたことがありますか?」という質問に対して、「はい」と回答したのは32.6%、一方で「いいえ」と回答した人は67.4%と、依然として過半数の人々がWeb3について知らない状況が続いています。技術の急速な進展にもかかわらず、その認知が広く浸透していない現状は、Web3に関する理解を深める取り組みがまだ十分ではないことを示唆しています。

Web3の理解度は約51%に、2023年と比較して19%減少

Web3という言葉を聞いたことがある人のうち、実際にWeb3を理解している人の割合が減少していることが明らかになりました。具体的には、「Web3の理解度はどのくらいですか?」という質問に対して、14.1%の回答者が「十分理解している」とし、36.6%が「大体理解している」と答えました。これにより、Web3の理解度は約51%となり、2023年と比較して19%の減少を示しています。

Web3連想で依然トップは「メタバース」、次いで「暗号資産」がランクインし認識向上へ

Web3という言葉を聞いたことがある人々の間で、Web3と聞いて最も多く連想されるのは「メタバース」でした。これは2023年と同様の結果で、Web3が仮想空間やデジタルの世界と強く結びついていることを示しています。メタバースは次世代のインターネット技術として、その可能性が広く認知されているため、Web3と関連づけられることが多いと言えるでしょう。 一方で、注目すべき変化も見られました。Web3と聞いて「暗号資産」を連想した回答者が2023年の26.8%から2024年には45.8%へと19%増加しています。これは、Web3の主要なサービスが「暗号資産」であるという認識が、この1年で急速に広がっていることを示しています。暗号資産に関連する技術やサービスが広まり、一般ユーザーにとってWeb3の一部として暗号資産がより身近なものとして認識されつつあると考えられます。

Web3利用の第一歩は「ウォレット作成」と「取引所の口座開設」

Web3という言葉を聞いたことがある人の間で、個人がWeb3のサービスを利用する際に最初に行うべきこととして、「プライベートウォレットの作成」が最も多く挙げられました。2023年には18.4%だったこの回答が、2024年には64.3%と急増しており、自己管理型ウォレットへの関心が一層高まっていることが明らかになっています。特に、ブロックチェーンゲームやNFTなど、Web3の一部を利用しているユーザーにとって、プライベートウォレットの作成は不可欠なステップとなっており、Web3の利用を始める上で最も身近な選択肢の一つとなっているようです。

Web3が私たちの生活にもたらす未来への期待

今回の調査結果から、Web3に対する認知や理解はまだ課題が残るものの、暗号資産やプライベートウォレットといった具体的なサービスに対する関心が急速に高まっていることがわかります。特に、Web3の利用を始める上で「プライベートウォレットの作成」や「暗号資産取引所の口座開設」が重要なステップとして認識されていることは、Web3が次世代のインターネットとして徐々に浸透しつつある兆しです。今後も、技術の進展とともに、Web3が私たちの日常生活にどのような変化をもたらすのか注目されます。暗号資産をはじめとするWeb3の世界は、これからさらに拡大し、より多くの人々にとって身近なものになっていくでしょう。


■アンケート調査概要

調査期間: 2024年8月19日 〜 2024年8月26日

調査対象:インターネットユーザー

回答数 :738人(有効回答数:697人)

調査方法:WEBアンケート調査

※ビットバンク調べ

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