地球の未来を担う次世代が、どんな視点で海を見つめているのでしょうか。日本各地の小学生が、海洋環境の現状を自ら調査し、独自の視点で可視化した作品を発表する場、それが『第4回海洋インフォグラフィックコンテスト』です。子供たちは、大人には見えない課題や気づきを、データとイラストを駆使して表現し、海の現状を新たな形で伝えています。
データは単なる数字ではなく、その背後にある深刻な問題を伝えるメッセージでもあります。このコンテストでは、視覚的にわかりやすいインフォグラフィックを通じて、子供たちがどのように海洋問題を捉え、未来に向けた希望や不安を発信しているのかが浮き彫りになります。子供たちの創造力によって描かれる『海の今』は、私たちが忘れてしまいがちな地球の危機を鮮明に思い出させてくれるのです。
小学生たちが自らの視点で“海”を発信!全国から9名がプレゼンを実施
「第4回海洋インフォグラフィックコンテスト」では、全国から選ばれた9名の小学生が、海をテーマにしたインフォグラフィック作品を発表しました。今回は初めて、プロのデザイナーがポスター制作をサポート。夏休みの期間を通じて、デザイナーと小学生がオンラインで何度も面談を重ね、スプレッドシートなどを使って作品を作り上げました。
このコンテストでは、年々小学生たちの研究レベルが向上しており、ポスターの元となるレポートもさらに充実しています。たとえば、3か月もの時間をかけて「干潟の溶存酸素量」を調査した子供もいれば、実際に漁業関係者にインタビューを行ったり、自分の学校内でアンケートを取って、同世代がどれだけ海洋問題に関心を持っているのかを調べた子供もいました。今年は特に、海に対する強い関心を持ち、フィールドワークを積極的に行った小学生たちの存在が際立っています。
小学生たちは、データを収集するだけでなく、それをわかりやすく視覚化することで、どのように海洋問題が私たちに影響を与えているのかを効果的に伝えました。彼らの独自の視点が詰まったインフォグラフィックポスターは、私たち大人にも新しい発見をもたらし、未来の海について深く考えさせられるものばかりです。
さらに、小学生たちはそれぞれのテーマに合わせた個性豊かな衣装やパフォーマンスを取り入れ、会場を大いに盛り上げました。プレゼンは視覚的なインフォグラフィックだけでなく、テーマに合ったユニークな演出を加えることで、より一層聴衆の心を掴む内容に仕上がりました。
注目すべきは、審査員からの難しい質問にも、まるで専門家のような知識を持って堂々と答える姿。子供らしい発想と大胆なプレゼンの中にもしっかりとした裏付けがあり、会場全体がその自信に満ちた発表に引き込まれていきました。小学生とは思えないほどの知識と熱意を見せた彼らの発表は、審査員や観客に大きな感動を与えたことは間違いありません。
過去の名作も一堂に!60点のインフォグラフィックが展示され、海洋問題の多様な視点を提供
今回のコンテスト会場では、今年の9作品だけでなく、過去3年間にわたって制作された合計60点ものインフォグラフィック作品も展示されました。これらの作品は、異なる年代の小学生たちが各自の視点で海洋問題を捉え、データを基にビジュアル化したもので、観覧者に多くの刺激を与える展示となりました。
会場には、一般の観覧者だけでなく、過去の参加者や海洋研究者、デザイナー、さらには国政関係者まで、多彩な分野の専門家や関係者が足を運びました。これにより、インフォグラフィックが持つ可能性や、若い世代が海洋問題に対してどのような視点を持っているのかを共有する場として、広い層に関心を引く場となりました。
受賞作品紹介
最優秀賞:未利用なんて言葉はいらない!”悪者”をヒーローにするのはぼくたちだ!
左:【小学生・研究レポート】今西 奏大・鹿児島県・4年
右:【デザイナー・インフォグラフィック】猪野 麻梨奈
羽田未来総合研究所賞/AOAOSAPPORO賞:すごいぞ秘めたパワー 藻類は地球の救世主?!
左:【小学生・自由研究レポート】瀬之上 綾音:東京都・4年
右:【デザイナー・インフォグラフィック】出口 しづか
イトーヨーカドー賞:レッツポジティブ!魚種交代
左:【小学生・自由研究レポート】波多江 美月:埼玉県・5年
右:【デザイナー・インフォグラフィック】酒井 亜紀波
ビズリーチ賞:なにげなく出されるごみが奪う海洋生物の命
左:【小学生・自由研究レポート】武田 龍ノ助:神奈川県・4年
右:【デザイナー・インフォグラフィック】河合 晴義
FURUNO賞:アサリだけじゃない!潮干狩りの魅力~生き物たちの暮らす干潟を守ろう~
左:【小学生・自由研究レポート】中村 蒼太:千葉県・6年
右:【デザイナー・インフォグラフィック】堀川 綾子
NEXCO東日本賞:危険なプラスチックごみ ゴーストギア
左:【小学生・自由研究レポート】藤井 景心:神奈川県・6年
右:【デザイナー・インフォグラフィック】ウエノ コウセイ
特別賞
もう時間は多くない…~ぼくたちは地球温暖化をどう食い止める?~
【小学生・自由研究レポート】笹村 樹生:福井県・5年
【デザイナー・インフォグラフィック】田中 絵莉奈
なぜ、大好きなふるさと納税の海苔が届かないの?
【小学生・自由研究レポート】山﨑 陽花:千葉県・5年
【デザイナー・インフォグラフィック】SAKATOMO / 渡部 晶子
風の力で未来を変える!洋上風力の秘めた力を解き明かせ!!
【小学生・自由研究レポート】結城 希和子:福島県・5年
【デザイナー・インフォグラフィック】山阪 佳彦
全国各所にて全作品展示決定!
第4回海洋インフォグラフィックコンテストで発表された全ての作品は、以下の日程で全国各所に展示されることが決定しています。(2024年9月30日時点)
- 【10月1日~10月14日】羽田空港 第二ターミナル5階 展望デッキ通路
- 【10月5日~10月6日】イトーヨーカドー アリオ北砂店・1階
- 【10月18日~10月31日】横浜・八景島シーパラダイス
- 【11月1日~11月24日】東京湾アクアライン 海ほたるPA 4階イベントスペース(アドアーズ隣)
- 【11月29日~12月27日】FURUNOロビー
これらの展示会を通じ、さらに多くの人々が小学生たちの作品を直接目にし、海洋問題に対する関心を深めていくことが期待されます。
子供たちの作品を通じて海の未来を考える
今回の海洋インフォグラフィックコンテストでは、小学生たちが海洋問題に対する独自の視点をデータとビジュアルで表現し、私たちに新たな気づきを与えました。彼らの作品は、未来を担う次世代が今何を感じ、どのように行動しようとしているのかを示す、力強いメッセージです。さらに、全国各所での展示が決定しており、これから多くの人が子供たちの作品に直接触れ、海洋環境への意識を深めることができます。
ぜひ展示会場に足を運び、彼らの作品を通して「海の今」を感じ取ってみてください。未来の海を守るために、彼らの発信したメッセージを私たち自身の行動にどう反映させるかが、これからの課題となります。次世代の子供たちが示した希望と責任に耳を傾け、共により良い未来に向けて一歩を踏み出しましょう。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。