
世界糖尿病デーである11月14日、株式会社セカンドハートが糖尿病患者向けに「Steplife VR」という新しいVR体験サービスを発表しました。糖尿病は食事や生活習慣の改善が必要とされる疾患ですが、放置すると視力低下や腎臓病、神経障害などの合併症を引き起こす可能性があります。特に、糖尿病に起因する末梢神経障害は患者の50%以上が発症し、その一部は足の切断にまで至ることが少なくありません。しかし、セカンドハート社調査によると57.1%の患者がこのリスクを実感しておらず、早期ケアが見過ごされる事態も少なくありません。「Steplife VR」は、VRを用いて末梢神経障害によるリスクをリアルに体験させ、予防や早期ケアの重要性を患者自身に訴えかける新しい試みです。
糖尿病患者の50%が抱える末梢神経障害、足切断に至るその怖さ

近年、糖尿病患者数は増加の一途をたどっており、国際糖尿病連合(IDF)によると、世界での糖尿病患者数は過去10年で倍増しています。日本国内でも2023年には1100万人以上が糖尿病を患っているとされ、そのうち約50%が末梢神経障害を発症しています。末梢神経障害は手足のしびれや痛みを引き起こし、日常生活に支障をきたすだけでなく、重症化すれば足の切断が必要になることもある深刻な症状です。また、足の切断後5年以内の死亡率も高いことがわかっており、早期発見や予防の重要性が高まっています。
もしも放置したらどうなる?VRで歩む末梢神経障害の“もう一つの未来”

「Steplife VR」は、VRヘッドマウントディスプレイを装着することで、糖尿病患者が自分の未来の健康状態を疑似体験できるサービスです。もしも末梢神経障害に気づき、適切な対策を取った場合と、見過ごしてしまった場合の未来を、一人称視点で「見て」「感じる」ことで、将来のリスクを視覚化します。このサービスは、「もしかすると自分も?」という患者の意識を刺激し、早期ケアの行動に結びつけることを目指しています。VRのリアルな体験を通して、患者は予防の大切さや行動の選択が健康に与える影響を具体的に理解できます。
継続的なケアをサポート!『Steplife』アプリで自分の足の健康管理

セカンドハートは、糖尿病患者が継続的に自らの足の状態を観察・管理できる「Steplife」アプリも提供しています。このアプリを用いることで、患者は足の写真を定期的に撮影し、医師と情報を共有することが可能です。

すでに4つの医療機関で導入されており、患者と医師の連携をサポートするツールとして活用されています。「Steplife VR」は、このアプリ利用の前段階で、リスクへの意識を高め、必要なケアに対する患者の行動を促す役割を担っています。
製品公式HP:https://www.steplife-sh.com/
糖尿病による切断リスクを減らす!セカンドハートが挑む未来の医療

「Steplife VR」をはじめとしたセカンドハートの取り組みは、糖尿病患者が健康に配慮し、末梢神経障害や切断リスクから守られる未来を目指しています。医療機関と患者が一丸となって予防や早期ケアに取り組むことで、糖尿病による合併症のリスクを最小限に抑えることが期待されています。セカンドハートは今後も最新技術を駆使しながら、患者一人ひとりが健やかな日常を取り戻すサポートに力を入れていく方針です。
VRが提供する「もしもの未来」によって行動が変わる
この記事を通じて感じたのは、「Steplife VR」が単なる教育ツールを超え、糖尿病患者自身が自らの健康状態をシミュレーションし、現実に目を向けるきっかけとなる点です。VR技術による視覚的な体験は、文章や医師からの説明では伝わりにくい「リアリティ」を提供します。糖尿病の予防とケアの重要性が叫ばれる現代において、「自分ごと」としてリスクを体感することは、行動のきっかけとして非常に有意義です。多くの患者がこのサービスを通じて、未来を想像し、今できるケアに積極的に取り組むことを願わずにはいられません。セカンドハートの新たな挑戦は、まさに社会が求める革新と言えるでしょう。